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炭水化物の目安が2つあるわけ

このサイトの「1日の目安」では、炭水化物の量が2つ並んで出てきます。「どっちを信じればいいの?」と思われるかもしれません。ここでは、2つの目安の考え方の違いと、子どもで差が出やすいわけを説明します。

目安1:体重あたり(UEFA声明など)

サッカーの栄養についてのUEFA専門家グループの声明では、炭水化物を「体重1kgあたり何g」で示しています。ジュニアの選手は、とても軽い〜中程度の練習の日で1日3〜6g/kg(T060)、強い〜とても強い練習の日で6〜8g/kg(T061)です。試合前日・当日・翌日は、トップ選手で6〜8g/kgとされています(T051)。

もとになっているのは主にトップ選手の研究で、「練習や試合で使う分」から考えた値です。

目安2:エネルギー比(日本人の食事摂取基準)

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、炭水化物を「1日にとるエネルギーの何%」で示し、目標量を50〜65%としています(T047、1〜49歳)。

1日に必要なエネルギーは、体重1kgあたりの基礎代謝量基準値×体重×身体活動レベルで計算し、1〜17歳は成長の分(エネルギー蓄積量、10〜40kcal/日)を加えます(T044・T045・T046)。炭水化物は1gで約4kcalとして、エネルギーの50〜65%をgに直しています(このサイトの計算機の方法)。

こちらは、スポーツをする人に限らない、日本人全体のための国の基準です。

2つを並べてみると

このサイトの計算機で試算した例です(10_target_examples.csv)。

例1日のエネルギー体重あたりエネルギー比
10歳・男子・30kg・通常練習2,115.7kcal90〜180g(3〜6g/kg、T060)264.5〜343.8g(50〜65%、T047)
12歳・女子・40kg・強い練習2,274.6kcal240〜320g(6〜8g/kg、T061)284.3〜369.6g(50〜65%、T047)

計算を確かめると、12歳・40kgの例のエネルギーは29.6×40×1.9+25=2,274.6kcal、そのうち50%は2,274.6×0.5÷4=284.3g、65%は2,274.6×0.65÷4=369.6gです。体重あたりは40×6=240g、40×8=320gです。この例では、2つの範囲が284〜320gで重なります。

いっぽう10歳・30kgの例では、体重あたりの上限180gより、エネルギー比の下限264.5gのほうが多く、2つの範囲が重なりません。その差は約85gで、ごはん(精白米・めし)にすると約230g分です(成分表:100gあたり炭水化物37.1g。84.5÷0.371=228g)。

子どもで差が出やすいわけ

子どもは、体の大きさのわりに必要なエネルギーが多いためです。上の10歳・30kgの例では、1日のエネルギーは体重1kgあたり約71kcal(2,115.7÷30)です。同じ計算機で試算した20歳・70kgの男性の試合当日の例(3,318.0kcal)では約47kcal(3,318.0÷70)です(10_target_examples.csv)。

エネルギー比の目安は必要なエネルギーに合わせて大きくなるので、体重1kgあたりに直すと、10歳の例は約8.8〜11.5g/kg、20歳の例は約5.9〜7.7g/kgになります。体重あたりの目安(3〜8g/kg)は大人の研究をもとにした値なので、成長のためのエネルギーまで多く必要な子どもでは、エネルギー比のほうが多くなりやすい、というのがこのサイトの解釈です。UEFA声明でも、ジュニアの体重あたりの量は「大人と同様」とされています(T060の備考)。

このサイトの考え方

  • 2つを対等に並べ、どちらかを正解にはしません(このサイトの方針)。2つの範囲が重ならないときは、計算機に「重ならない」と表示します。
  • 育成年代は「しっかり食べる」が基本です。 目安より多く食べていても、知らせることはしません。チェックは足りないときだけ知らせます(このサイトの方針)。
  • 若い選手のエネルギーの必要量を正確に決めるのは難しいとされます(T065)。そのため、量が合っているかは体重の変化や練習中の様子で確かめます(このサイトの解釈)。成長期は体重が増えていくのがふつうなので、ふだんの記録と比べるのがわかりやすい方法です(このサイトの解釈)。
  • gの数字より、毎食の形を大事に。 毎食、主食・主菜・副菜・牛乳・乳製品・果物をそろえ(T080)、主食(ごはん・パン・めん)を練習の量に合わせて増やすのが、取り入れやすい方法です(このサイトの解釈)。

このサイトでは

「1日の目安」の画面で、年齢・性別・体重・日の種類を入れると、2つの目安と、エネルギーと合わせた目安が並んで出ます。どの数字にも、もとにした目標IDを付けています。

出典:Collins J ほか「UEFA expert group statement on nutrition in elite football」(2021)、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」(エネルギー p66〜p71、エネルギー産生栄養素バランス p149)、日本サッカー協会「JFA栄養ガイドライン」、Bergeron MF ほか「International Olympic Committee consensus statement on youth athletic development」(2015)

栄養価:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年(ごはん 01088)。試算の例は、このサイトの計算機(targets_calculator.py)の結果。エネルギー比をgに直す方法と、2つの基準の並べ方はこのサイトの解釈

出典:T051・T060・T061(UEFA声明 S03)、T044〜T047(日本人の食事摂取基準2025 S04)、T065(IOC 若年競技者の声明 S09)、T080(JFA S15)、10_target_examples.csv(このサイトの計算機の試算)、成分表(こめ[水稲めし]精白米 うるち米)(出典の一覧は「出典」のページを参照)